SAID(特異性)の原則

前回、『トレーニングの原理・原則』でも触れた『特異性の原則』をクローズアップしてお話したいと思います。
この原則は,「SAIDの原則」ともいわれています.

SAIDとは?

SAIDとは” Specific Adaptation to Imposed Demands”の頭文字を取ったもので、『身体は課された要求に対して特異的に適応する』という原則です。
簡単に言えば、カラダに一定のトレーニング負荷をかけると生体はそれに見合った適応現象を起こすということです。
トレーニングは、その種類によって鍛えられる機能が変わってきます。
行った運動のエネルギーの使われ方や筋肉の活動の仕方と関係する能力が増加します。
簡単に言ってしまえば、スクワットは上半身のトレーニングにはならないという事です。
目的に応じて、トレーニングの種類を選ぶ必要があります。


 チェストパスの例

例えば、バスケットボールのチェストパスをよりパワフルにスピーディーに行うためには、どんなレジスタンストレーニングが必要だろうかということを考えてみましょう。
チェストパスは、基本的に両手でバスケットボールを胸の前から前方に押し出す動きですから、レジスタンストレーニング種目としてベンチプレスがまず思い浮かぶと思います。
ところが、ベンチプレスの最大挙上量が高い選手がかならずしもスピーディーなチェストパスを投げられるわけではありません。
なぜかというと、ベンチプレスの動きとチェストパスの動きは似ていますが、イコールではないのです。
似ている点、異なる点を整理すると以下のようになります。
said (1)
こうして整理してみると、似ている点よりも異なる点の方が多いことに気が付くと思います。
『SAIDの原則(特異性の原則)』=『身体は課された要求に対して特異的に適応する』ということから考えると、ベンチプレスを継続的に行えば、ベンチプレスの挙上重量は向上していきます。
しかし、それはベンチプレスの動きに対して適応が起きたわけであり、チェストパスの動きに対しては別問題なのです。
究極に言ってしまえば、寝てトレーニングをしているか、立ってトレーニングをしているかが違いますよね。
チェストパスは、当然スタンディングの状態です。
そう考えれば『全面性の原則』により、全身バランスよくトレーニングすることが重要です。
それでは、どのように実際の動きに近いトレーニング・エクササイズに発展させていくかというと、一例として以下のように整理することができます。
said (2)
このことにより、メニューが確立され、目的がはっきりしたことにより『個別性の原則』『意識性の原則』が使えます。
少し専門的な例になってしまいましたが、トレーニングに対する適応を考えて、基本的な種目(ベーシック・エクササイズ)から徐々に動作に近い種目(スペシフィック・エクササイズ)へと段階的に変化させることが大切です。
これも『オーバーロード(過負荷)の原理』ですね。
種目が難しくなると同時に負荷が増えるということです。
もちろん同様のことが日常動作などでも言えます。


 ベーシック⇔スペシフィック⇔スキルの関係

said(3)
『SAIDの原則』からもお分かりのように、ベーシック・コンデショニングだけだと、求める動作に対してうまく効果が得られない場合があります。
そこで、ベーシックとスキル(動作)をつなげるスペシフィック・コンディショニングが必要になってきます。
このスペシフィック・コンディショニングによってベーシック・コンデショニングが活かされ、動作改善に反映されて、高い効果が現れます。
ここで肝に銘じておかなければいけないのは、ベーシック・コンデショニングなしに、スペシフィック・コンディショニングだけで効果を得ようとしても限界があるということです。

講習会などでも言うのですが、この『SAIDの原則』はどのトレーニングにも共通して言えることです。
この原則を十分に理解し、筋トレに役立ててください。

※参考文献
阿部良仁・岩間徹・矢野雅知 『パーソナルトレーナーズバイブル』 スキージャーナル株式会社


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